ネット検索で「キャノンボールクラゲ」と打ち込むと、関連語に「毒性」「危険性」「刺されたら」といった物々しい単語が並びます。ハブクラゲやカツオノエボシのような殺人クラゲを想起し、警戒する読者も多いはずです。しかし、海洋毒素の専門研究データや各国の水産機関の報告を照らし合わせると、過度なパニックは不要であることがわかります。
結論から言えば、キャノンボールクラゲ(学名:Stomolophus meleagris)の毒性は「人間に対して重篤な後遺症や死をもたらすレベルではない」と評価されています。触手から分泌される刺胞毒には心血管系に影響を与える毒素タンパク質が含まれているものの、人が海水浴中に接触した場合の症状は、局所的なピリピリとした痛みや発赤、かゆみといった軽度の皮膚炎が主流です。
ただし、アレルギー体質の人や小さな子ども、皮膚の薄い部位が直接触れた場合には、ミミズ腫れや強い痛みを伴うケースが報告されています。万が一、海中や打ち上げられた個体に触れて「刺された」と感じた場合は、真水ではなく必ず海水で洗い流し、擦らずに触手をピンセット等で除去した上で冷やすのが鉄則です。食酢(お酢)をかける処置は、クラゲの種類によって刺胞の発射を促進させるリスクがあるため、本種に対しては海水洗浄が最も安全な応急処置とされています。