大人の手足口病を経験した者が口を揃えて「拷問のようだった」と語るのが、口腔内や喉の奥(口蓋弓)に密集するアフタ性潰瘍による激痛です。抗ウイルス薬という根本治療薬が存在しない手足口病において、この激痛を乗り切る対症療法には知恵と工夫が求められます。
まず痛みの緩和には、自己判断で強い抗炎症薬を乱用するのではなく、アセトアミノフェン系やロキソプロフェン系の鎮痛解熱薬を医師・薬剤師の指導のもとで適時活用することが基本となります。ただし、胃粘膜への負担を避けるため空腹時を避ける必要があります。喉の粘膜を保護するために、医療機関で処方されるアズレンスルホン酸ナトリウム配合のうがい薬や、局所麻酔成分を含むトローチをタイミングよく使用することも効果的です。
食事と水分補給においては「味覚への刺激」を完全に排除しなければなりません。オレンジジュースなどの柑橘類、トマトジュース、塩分の濃いスープ、炭酸飲料は潰瘍に触れた瞬間、飛び上がるほどの激痛を生じさせます。常温〜やや冷やした麦茶、経口補水液、冷ましたプリン、ゼリー飲料、冷たい茶碗蒸し、絹ごし豆腐など、噛まずに喉を滑り落ちる流動食を少しずつ口に運ぶアプローチが推奨されます。
家庭内感染を断ち切る「接触感染・糞便感染」の鉄壁防御
大人の感染ルートの8割以上は「我が子の看病」から生じています。大人の手足口病 家族内感染予防策として、次の3つの防衛策を徹底してください。
- オムツ交換・看病時の使い捨て手袋と即時手洗い:ウイルスは便中に1ヶ月近く排出されます。素手でのオムツ交換は自殺行為です。使い捨てビニール手袋を着用し、廃棄時は袋を密閉、流水と石鹸で30秒以上の手洗いを行ってください。
- タオルの完全個別化とペーパータオル導入:洗面所や台所で共用タオルを使用すると、家族全員に一撃でウイルスが伝播します。感染流行期はすべて使い捨てのペーパータオルへ切り替えるのが賢明です。
- アルコール消毒の過信を捨てる:手足口病の病原体であるエンテロウイルスやコクサッキーウイルスは「ノンエンベロープウイルス」であり、一般的なアルコール消毒薬が効きにくい性質を持っています。接触箇所の消毒には0.02%〜0.05%の次亜塩素酸ナトリウム(薄めた塩素系漂白剤)での拭き取りと、物理的な流水・石鹸洗浄を徹底してください。