吉田美奈子版の『夢で逢えたら』を語る上で欠かせないのが、1976年発表の名盤『FLAPPER』の存在です。本作には大滝詠一だけでなく、山下達郎、細野晴臣、大貫妙子、矢野顕子、佐藤博といった黎明期を支えた最高峰のミュージシャンが集結していました。
同曲のアレンジとプロデュースは大滝詠一自らが担当し、アメリカン・ポップス(フィル・スペクター調のウォール・オブ・サウンド)の意匠を散りばめつつも、吉田美奈子の芯のある力強いヴォーカルを前面に押し出しています。
単なるオールディーズ歌謡にとどまらず、リズムのタメやフェイク、息遣いひとつに至るまで計算し尽くされたグルーヴは、半世紀を経た現代のリスナーをも唸らせる完成度を誇ります。