学部卒業後、彼女は間髪を入れずに早稲田大学大学院人間科学研究科(修士課程)へと進学し、さらには博士後期課程へと駒を進めました。文系的な教養や心理学にとどまらず、彼女が選んだ専攻は「医工連携」「ロボット工学」「予防医学」という極めて高度な理系学術領域でした。
かつてトップアイドルとして笑顔を届けていた彼女が、なぜ白衣を着て半田ごてを握り、C言語やPythonによるプログラミング、センサー回路の設計に没頭するようになったのか。その決定的な動機には、超高齢社会に対する鋭い当事者意識と実体験に基づく危機感がありました。
「高齢になって身体が動かなくなり、誰かの介助を必要としてから助けるロボットではなく、そもそも寝たきりや要介護状態にならないための予防ロボットを作りたい」――。これが、彼女が一貫して掲げた研究テーマです。
実兄がコンピュータエンジニアであった影響から、自身も1980年代のマイコン黎明期からパソコンの自作やプログラミングに親しんでいた素地がありました。彼女は加齢に伴い運動器の機能が低下する「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」の予防に着目。高齢者がゲーム感覚で楽しく継続できるスクワット運動支援ロボット『ロコピョン』の開発を主導しました。
大学の研究室にこもり、被験者となる高齢者の生体データを収集・解析し、サーボモーターのトルク調整から基板の配線まで自ら手を動かす日々。彼女の研究成果は国内外の学術学会で発表され、修士論文の審査を堂々と通過。修士(人間科学)の学位を取得した彼女の姿は、もはや芸能人の余技ではなく、紛れもない「一人の科学者」の現場そのものでした。