「熱はないのに、夜間や早朝になると乾いた咳が出て止まらない」「会話中や冷たい空気を吸い込んだ瞬間に咳き込む」――このような状態に心当たりがある場合、単なる咽頭炎ではなくアレルギー性の気道炎症を疑う必要があります。秋のアレルギーで咳が止まらない理由は、前述の通りブタクサ花粉などの微小粒子やダニ抗原が気管支にまで直接届き、慢性的なアレルギー性炎症を引き起こすことに起因します。
特に初秋に多発するのが咳喘息(せきぜんそく)の9月における発症および悪化です。咳喘息は、ゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難を伴わないものの、刺激に対して気道が極めて過敏になり、激しい咳発作が3週間以上持続する呼吸器疾患です。9月は、夏季の冷房による気道の乾燥ストレスに加え、台風の接近に伴う急激な気圧低下や秋雨前線による湿度の乱高下が自律神経を刺激し、気道収縮を誘発しやすい過酷な環境が整っています。
日本呼吸器学会のガイドラインでも警告されている通り、咳喘息を適切な治療を受けずに放置した場合、約30%が本格的な気管支喘息へと移行します。一般的な市販の鎮咳去痰薬(咳止め)は咳中枢に作用するものが多く、アレルギーによる気道炎症そのものを鎮火させることはできません。気道粘膜の過敏性を抑える吸入ステロイド薬や気管支拡張薬(ロイコトリエン受容体拮抗薬など)による早期の専門的アプローチが不可欠です。