2022年春、飲料業界とSNSに走った衝撃は想像を絶するものでした。森永乳業が販売していた定番の「リプトン ミルクティー(500ml紙パック)」が突如として姿を消し、代わりに「リプトン ロイヤルミルクティー」へと刷新されたのです。パッケージデザインも刷新され、ミルクのコクを前面に押し出したプレミアム路線へと舵が切られました。
メーカー側がこのリニューアルに踏み切った背景には、チルド紅茶市場全体の成熟と、消費者の嗜好変化がありました。当時、カフェブームやクラフト飲料の台頭により、市場では「濃厚さ」「本格的な紅茶感」「リッチなミルクのコク」を求める層が拡大していました。森永乳業の開発陣は、より本格志向の強い大人のユーザー層を取り込むべく、茶葉の抽出濃度を高め、ミルク分を増量した「ロイヤルミルクティー」への一本化を決断したのです。
しかし、このマーケティング戦略は思わぬ誤算を生むことになります。ユーザーがリプトンミルクティーに求めていたのは、高級ホテルのラウンジで飲むような重厚なロイヤルミルクティーではなく、「喉が渇いたときにゴクゴク飲める、爽やかな茶葉の香りと軽やかな甘さ」でした。発売直後から、ネット上では「味が全く別物になってしまった」「あの独特のスッキリした味がどこにも売っていない」という悲痛な叫びが溢れ返る事態へと発展しました。