心房細動は、時間の経過とともに進行する進行性の疾患です。初期段階は発作性心房細動と呼ばれ、不整脈が突発的に生じても7日以内(多くは48時間以内)に自然と正常な脈(洞調律)へ戻ります。しかし、発作を繰り返すうちに心房の壁に線維化が起こり、心房自体が拡大。電気的なリモデリング(構造変化)が進むと、7日を超えても不整脈が止まらない持続性心房細動、さらには1年以上続く長期持続性、最終的には薬物や電気的除細動でも正常に戻らない永続性へとステージが悪化していきます。
医療機関で確定診断を下すためのゴールドスタンダードは心電図検査です。心電図波形には、心房細動特有の明確なシグネチャーが現れます。
- P波の完全な消失:心房全体の正常な収縮を示す山(P波)が見当たらなくなります。
- 基線の揺れ(f波):P波があるべき基線が、毎分400〜600回の微細な鋸歯状の小刻みな波(フィブリレーション・ウェーブ)で埋め尽くされます。
- R-R間隔の絶対的不整:脈拍の山と山(R波の間隔)が完全にランダムで、規則性が完全に破綻しています。
平常時の健康診断における12誘導心電図はわずか10秒前後の記録に過ぎないため、発作性の患者を捉えきれないケースが散見されます。そのため現在では、24時間ホルター心電図や携帯型心電計、さらには医療機器承認を得たスマートウォッチによる常時モニタリングが、早期発見において決定的な役割を果たしています。