あの青いシート「蟯虫検査」とは?学校健診から消えた理由と最新実態

あの青いシート「蟯虫検査」とは?学校健診から消えた理由と最新実態

あの青いシート「蟯虫検査」とは?学校健診から消えた理由と最新実態について徹底解説いたします。専門家の見解をご覧ください。

長年にわたり全国の児童に課されていた検査が、なぜ学校現場から忽然と姿を消したのでしょうか。その真相の根底には、学校保健安全法の改正経緯と日本の目覚ましい寄生虫予防と衛生環境の推移が存在します。

蟯虫検査廃止の理由となった最大の要因は、検出率の極端な低下です。昭和33年(1958年)、当時の「学校保健法」施行に伴い、寄生虫感染の温床になりやすかった小学校3年生以下の児童を対象に毎年の蟯虫検査が義務付けられました。戦後間もない昭和20年代後半、日本国民の寄生虫保有率は60%を超え、蟯虫の検出率も地域によっては20〜30%台に達していました。

しかし、上下水道の全国的な整備、化学肥料への全面転換による人糞肥料の廃絶、水洗トイレの標準化、さらには衛生教育の徹底によって生活環境は劇的に清潔化しました。文部科学省の調査データによると、2000年代に入る頃には児童の蟯虫卵検出率は0.1〜0.2%程度まで激減。検査を受けた児童の数百人から1,000人に1人程度しか陽性者が出ない状況に至りました。

これを受け、文部科学省の有識者会議(学校健診情報評価検討委員会)において「全児童を対象としたスクリーニング検査としての公費投入の費用対効果および医学的有用性は極めて低い」との結論が下されました。平成26年(2014年)の省令公布を経て、2015年度末(2016年3月)をもって、同じく形骸化が指摘されていた座高測定とともに、定期健康診断の必須項目から完全に削除されたのです。これが蟯虫検査がなくなった真相です。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。