SNSや水族館のファンコミュニティで定期的に話題を集めるのが、「エイの裏側が人間の笑顔そっくりで可愛い」という投稿です。ガラス面にペタリと張り付いたエイの腹側を下から見上げると、つぶらな瞳で微笑んでいるような愛嬌ある表情に見えます。しかし、解剖学的に見るとそこには大きな勘違いが存在します。
多くの人が「目」だと信じ込んでいる2つの小さな黒い点は、実は目ではなく「鼻の穴(鼻孔)」です。そして、その下で笑っているように湾曲している部分が本物の「口」であり、さらにその下側に並ぶ左右5対の筋が「エラ穴」です。このエイの裏側の顔の正体を知ると、可愛い笑顔に見えていたものが、呼吸と嗅覚のための器官の配列であったことに気づかされます。
では、肝心の「本物の目」はどこにあるのでしょうか。エイの目は、敵を発見したり周囲を見渡したりするために、体の上面(背中側)についています。砂の中に体を埋めて隠れる際にも、背中側の目だけを外に出して周囲を警戒する構造になっているのです。水族館で観察する際は、腹側のコミカルな表情を楽しみつつ、背中側の凛々しい目つきにも注目してみてください。