浮世絵美人画の名作として名高い本作を手がけた喜多川歌麿は、寛政期(1789〜1801年)を中心に活躍した江戸のトップ絵師です。従来の全身を描くスタイルから脱却し、女性の胸から上を大胆にクローズアップする「美人大首絵(びじんだいくびえ)」という革新的な構図を確立しました。
本作が属する揃物『婦女人相十品(ふじょにんそうじっぴん)』は、寛政4年から5年(1792〜1793年)頃に版元の蔦屋重三郎から刊行された全10図のシリーズです。外見の美しさだけにとどまらず、人相学の視点から女性たちの内面や気質、身分による感情の機微までも克明に描き分けることを試みた意欲作でした。
正式な画題としては『婦女人相十品 ポッピンを吹く娘』などと呼ばれることも多く、少女のふとした無邪気な表情を切り取った歌麿円熟期の傑作として知られています。