香典袋を前にして最も多くの人が検索するのが、お札の「表裏」と「上下」の配置です。結論から述べると、御霊前お札の向き表裏における明確な基準は、「中袋の表面に対してお札の裏面(肖像画が描かれていない面)を向け、肖像画が袋の底(下側)に位置するように入れる」ことです。
なぜ肖像画を表に向けてはならないのか。これには日本の伝統的な死生観と感情表現が深く関わっています。慶事(結婚祝いなど)では「顔を上げて喜びを表す」意味から肖像画を表かつ上側に配置しますが、弔事では正反対の作法をとります。肖像画を下に向ける理由は、「悲しみのあまり顔を伏せる」「顔を隠して哀悼の意を示す」という心情を形にしたものだからです。
お札を取り出した際、遺族の視線にまず肖像画が飛び込んでこないよう配慮するこの所作は、言葉にできない深い弔意を無言で伝えるための先人の知恵です。複数枚のお札を包む場合は、すべてのお札の向きと表裏を乱れなく揃えて中袋に収めるのが最低限のエチケットです。