過リン酸石灰の真価と使い方|なぜ効かない?ようりんとの違いを徹底解剖

過リン酸石灰の真価と使い方|なぜ効かない?ようりんとの違いを徹底解剖

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過リン酸石灰は優れた資材である反面、使い方を誤ると取り返しのつかない土壌障害を招きます。導入前に把握しておくべきリスクを整理します。

第1の盲点は、水田や過湿土壌における「秋落ち」現象です。過リン酸石灰には約50%もの硫酸カルシウム(石膏)が含まれています。この硫酸根は、水はけの悪い湿田や酸素濃度の低い嫌気性土壌において、土壌還元菌の働きで有害な硫化水素へと変化します。硫化水素は作物の根を腐らせ、根腐れ病や生育不良を引き起こす過リン酸石灰のデメリットを持っています。排水不良の圃場や老朽化水田では、硫酸根を含まない重過リン酸石灰やようりんを選択するのが鉄則です。

第2の警戒すべきリスクは、肥料の蓄積によるリン酸過剰障害の症状です。リン酸そのものは作物体内に高濃度で蓄積されても直接の毒性を示しにくい性質を持っています。しかし、土壌中の有効態リン酸濃度が過剰に跳ね上がると、植物の根における養分吸収の拮抗作用(競合阻害)が発生します。

具体的には、亜鉛や鉄、マグネシウムの吸収が激しく阻害されます。その結果、成長点近くの新葉が白く脱色する「亜鉛欠乏症(黄白化)」や、葉脈の間が黄色く抜ける「鉄・苦土欠乏症」が頻発し、株全体が委縮して実がつかなくなります。「実肥だから多ければ多いほど実がつく」という安易な過剰施肥は、植物の代謝サイクルを根底から狂わせる引き金となります。

高橋 健太
著者

高橋 健太

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。