9.11同時多発テロから四半世紀|防げなかった真相と跡地の今を検証

9.11同時多発テロから四半世紀|防げなかった真相と跡地の今を検証

9.11同時多発テロから四半世紀|防げなかった真相と跡地の今を検証を徹底追究! 知っておきたい 情報と解説を分かりやすく展開します。

「世界最高峰の情報機関を持ちながら、なぜ史上最大のテロ攻撃を察知・阻止できなかったのか?」――これは事件直後から今日に至るまで、国際社会が問い続けてきた最も重い疑問です。後年公開された全米調査委員会の最終報告書(9/11コミッション・レポート)は、その原因が情報収集能力そのものではなく、「インテリジェンス機関の組織的分断」と「想像力の欠如」にあったと結論づけています。

最大の失策として挙げられるのが、CIA(中央情報局)とFBI(連邦捜査局)の間に存在した強固な壁です。2000年1月、マレーシアのクアラルンプールで開かれたアルカイダの最高幹部会議をCIAは監視下に置いていました。この会議に出席していた実行犯のナワフ・アル・ハズミとハリド・アル・ミフダールの2名が、すでにアメリカの有効な査証(ビザ)を取得している事実をCIAは把握していたのです。

しかし、国外でのスパイ活動を管轄するCIAと、合衆国本土の治安・捜査を管轄するFBIとの間には法的な垣根(いわゆる「ウォール」)や省庁間のライバル意識が存在し、この重要情報はFBI国内捜査部門へ迅速に共有されませんでした。その結果、2人は偽名を使うこともなくロサンゼルスに滞在し、現地の飛行学校に通いながら着々とテロの準備を進めることができてしまったのです。

さらに、大統領執務室に提出されていた2001年8月6日の「大統領日報(PDB)」には、『ビンラディン、合衆国内での攻撃を決意』という不吉な見出しがつけられていました。レポートにはハイジャックの可能性についても触れられていましたが、政府高官らはこれを「航空機を人質に取り、服役中のテロリスト釈放を要求する従来型ハイジャック」と想定し、旅客機そのものを自爆兵器としてビルへ突入させるというテロリスト側の戦術的跳躍を想像することができませんでした。この組織的硬直性と情報のサイロ化こそが、防ぐことのできたはずの悲劇を現実のものにした決定的な構造的敗因でした。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。