除菌を確実に成功させ、副作用の被害を最小限に食い止めるためには、内服期間7日間の生活習慣コントロールが決定的な鍵を握ります。特に相談が多いのがピロリ菌除菌期間中の食事とアルコールの管理です。
まずアルコールに関して、結論から言えば一次除菌中であっても原則禁酒、二次除菌中は完全禁酒が絶対条件です。一次除菌の段階でも、アルコールは肝臓での薬剤代謝酵素(CYP3A4等)を奪い合い、薬の血中濃度を不安定にさせます。さらにアルコール自体が胃粘膜を刺激して胃酸分泌を促進するため、酸を抑えて抗菌薬を効かせやすくするという除菌薬の作用機序を根底から邪魔してしまいます。二次除菌で用いられるメトロニダゾール内服中の飲酒に至っては、ジスルフィラム様反応によって救急搬送レベルの激しい嘔吐や血圧低下を引き起こすため、アルコールは一滴たりとも口にしてはなりません。
日々の食事においても、胃と腸に無用な刺激を与えない配慮が求められます。唐辛子などの香辛料を多用した辛い料理、ブラックコーヒーなどのカフェイン過多の飲料、極端に脂っこいラーメンや揚げ物は、ただでさえ抗菌薬で荒れ狂っている腸内環境に追い討ちをかけ、下痢や胃痛を劇的に悪化させます。
臨床現場で推奨されるのは、うどんやおかゆ、豆腐、白身魚といった消化に優しい食事を基本とすることです。また、抗菌薬によって死滅していく腸内善玉菌をサポートするため、ヨーグルトや納豆などの発酵食品を適度に取り入れることは推奨されます。近年の研究では、特定の乳酸菌(LG21乳酸菌など)を除菌治療前から併用することで、除菌成功率の向上や下痢症状の緩和に寄与するという臨床報告も蓄積されています。