心身の限界を感じているにもかかわらず、「自分が休んだら現場が回らない」と無理を重ねる労働者は後を絶ちません。しかし、深刻な抑うつ状態に陥った脳は正常な認知機能や判断力を失っており、その状態で下した「退職」という決断は、後々の経済的困窮やキャリアの断絶を招き、回復の大きな足かせとなります。
限界を迎えた段階で選択すべきは、退職ではなく「休職による休養」です。労働安全衛生法や各企業の就業規則に基づき、精神科診断書休職手続きを進めることが最善の防衛策となります。医師が「抑うつ状態により1〜3ヶ月の自宅療養を要する」といった診断書を交付した場合、企業側は安全配慮義務の観点から就労を命じることができず、休職命令を発令することになります。
診断書の発行費用は保険適用外(自費)となり、1通あたり約3,000円〜5,500円が相場です。初診当日に即日発行してくれる医師もいれば、数回の経過観察を経てから判断する医師もいるため、就労が不可能である具体的な理由(業務中のパニック、通勤途中の激しい動悸、不眠による判断停止など)を診察時に明確に伝えることが実務上のポイントです。
休職期間中の生活費に関しては、健康保険組合から「傷病手当金」が支給されます。業務外の病気やケガで連続して3日以上働けず給与が出ない場合、4日目以降の休業期間について、直近12ヶ月の標準報酬月額の約3分の2が最長1年6ヶ月間にわたり支給されます。経済的なセーフティネットが存在することを認識し、まずは脳と身体を休ませる環境を確保しなければなりません。