「毎日丁寧に洗顔し、アクネ菌用の治療薬を塗っているのに全く治らない」という悲鳴は、皮膚科の外来でも毎日のように聞かれます。根本的な原因は、尋常性ざ瘡(ニキビ)の主因が嫌気性細菌である「アクネ菌」であるのに対し、マラセチア毛包炎の原因は酵母様真菌(カビの仲間)である「マラセチア菌」という全く別異の微生物である点に集約されます。
アクネ菌を叩くための抗生物質(クリンダマイシンやナジフロキサシンなど)や過酸化ベンゾイルは、カビである真菌には一切効果を示しません。むしろ、細菌だけが死滅することで皮膚表面の生態系が崩れ、マラセチア菌が毛包内で勢力を一気に拡大する「菌交代現象」を誘発し、症状を劇的に悪化させるケースすら頻発しています。
臨床診断において両者を分ける視覚的・臨床的特徴は明確です。マラセチア毛包炎の症状・特徴として、臨床写真や患部観察では以下の差異がはっきりと確認されます。
このように、患部を観察した際に「毛穴に一致した小さな赤いポツポツがサイズを揃えて散らばっている」「芯がなく、何となくムズムズ痒い」という状態であれば、アクネ菌用のケアを直ちに中断する必要があります。