ネット上のマナー情報には、過去のしきたりが誇張されたものや、文脈を無視した不正確な解説が散見されます。現場取材によって浮き彫りになった、特に誤解されやすい2つの盲点を是正します。
誤解1:夫婦で参列するなら絶対に連名にしなければならない?
「夫婦2人で式場に行くのだから、絶対に連名でなければマナー違反になる」という言説は明確な誤りです。前述の通り、日本の伝統的な葬礼では「世帯主の単名」こそが最も正統な形式とされてきました。夫婦揃って参列する場合であっても、夫の単名で香典を出し、受付で「夫婦で参列いたしました」と告げて2人分の返礼品を受け取る、あるいは追加分の御食事代を考慮した金額を包むという運用は、現代でも極めて一般的であり、何ら非難されることではありません。
誤解2:妻の親友の葬儀でも夫の名前で出すのが正しい?
「どんな葬儀であっても、世帯主である夫の名前で香典を出すのが家庭のルール」という極端な家父長制的な解釈も存在しますが、これは大きなトラブルの種になります。
妻の学生時代の親友や、妻個人の職場同僚など、夫と故人・遺族に全く接点がない場合、夫の氏名で香典を出すと、遺族は「〇〇様とはどなただろうか」と困惑し、名簿照合や香典返しの宛名作成で多大なストレスを抱えることになります。妻個人のプライベートな人間関係に基づく弔問であるならば、世帯のルールに固執せず、妻自身の単名(旧姓の併記も可)で香典を包むのが合理的かつ思いやりのある判断です。