芸能人の口元を巡る議論で頻繁に囁かれるのが、「昔はもっと歯が見えていたのに、いつの間にか見えなくなった」「デビュー当時に比べて笑顔の印象が変わった」という整形・矯正疑惑です。この噂の背景には、審美歯科治療におけるリアルな生体力学的変化が存在します。
実際に臨床現場でも、歯列矯正で歯が見えなくなったと相談に訪れる患者は後を絶ちません。代表的な原因が、重度の口元突出(口ゴボ)を改善するために行われる「便宜抜歯(小臼歯の抜歯)による過剰な前歯の後退」です。前歯を内側に引き込みすぎると、歯軸が内側に倒れ込む「舌側傾斜(内向歯)」を引き起こし、上唇が下垂して歯冠を覆い隠してしまいます。顎骨の奥行きが失われることで、笑ったときに光が届かず、口元全体が暗く見えてしまう「ダークスペース」が生まれるのです。
また、近年の美容トレンドであるボトックス注射の影響も見逃せません。ガミースマイル改善のために上唇挙筋群へボツリヌストキシンを注入しすぎた結果、筋肉が弛緩して上唇が全く上がらなくなり、一時的に逆ガミースマイル状態に陥る事例が報告されています。ネット上で「笑顔が不自然に引きつっている」「歯が見えなくなって別人に見える」と囁かれるタレントの中には、こうしたアンチエイジングや過度な審美施術の副作用が一時的に表出しているケースも含まれていると考えられます。