ニュースメディア『AERA dot.』の特集報道「亡くなった子を激痛に耐えて出産…"レインボーベビー"授かっても癒えない母親の傷」が大きな反響を呼んだように、新しい子どもを授かったからといって、過去のトラウマや喪失感が帳消しになるわけではありません。多くの当事者が直面するのは、周産期喪失と心の葛藤という極めて複雑な心理状態です。
厚生労働省の不育症研究班(FUIC)が公表した調査報告によると、流産を2回以上繰り返す不育症と習慣流産の当事者は、次の妊娠期間中に約8割以上が「また心拍が止まるのではないか」という激しい予期不安に苛まれます。妊娠検査薬の陽性反応を見ても素直に喜べず、超音波検査のモニターを見るたびに手が震える——。こうした心理的負担は、無事に出産を終えたあとも形を変えて続きます。
取材の過程で耳にした30代母親の告白は、この問題の根深さを物語っています。
「無事に産声を聞いた瞬間、安堵とともに『どうしてあの子のときは助けてあげられなかったのか』という激しいサバイバーズ・ギルト(生き残ったことへの罪悪感)が押し寄せて涙が止まりませんでした。周りからは『本当によかったね、これで悲しみも報われたね』と言われますが、私の心の中では、あの子とこの子は全く別の命なんです」
医療現場ではいま、出産後も継続して心のケアを行うグリーフケアと心理的ケアの重要性が強く叫ばれています。悲嘆のプロセスは一直線に回復するものではなく、寄せ波と引き波を繰り返すものです。喜びの涙の裏にある癒えない傷口をそのまま受け止める支援体制が不可欠です。