一方的に狩られる被害者のイメージが強いイボイノシシですが、決して無力な存在ではありません。彼らはサバンナ屈指のタフガイでもあります。
成体の口元から上向きに湾曲して伸びる鋭利な牙(下顎の犬歯)は、カミソリのように研ぎ澄まされており、本気で突進すればヒョウの腹部を裂き、若いライオンに致命傷を負わせる威力を秘めています。身の危険を感じた母親が、子どもを守るために大型捕食者に猛然と立ち向かい、撃退する場面も数多く記録されています。
また、危険を察知したイボイノシシは、細い尾をアンテナのようにピンと立て、時速50キロ近い猛スピードで一直線に疾走します。巣穴に入る際は、敵の追撃に備えて必ず「お尻からバックで穴に入る」習性を持ち、穴の入り口に牙を向けた状態で立てこもるなど、徹底した防衛本能を備えています。