実生(種まき)から高級血統株の胴切り増殖までを手掛ける生産現場への聞き取り取材において、共通して指摘された失敗原因の筆頭は「用土の微塵(みじん)抜き不足」でした。
大手ECサイトや園芸コミュニティのレビューを分析すると、「配合通りに作ったのに水が抜けず、1週間以上土が湿ったままになって根腐れした」というトラブル投稿が目立ちます。袋から出したばかりの赤玉土や鹿沼土には、輸送時の摩擦によって生じた細かな粉末(微塵)が大量に含まれています。
この微塵をふるい(1mm〜2mm目)で丁寧に取り除かずに鉢へ投入すると、水やりとともに粉末が鉢底の隙間へ堆積し、セメントのように排水孔を塞いでしまいます。どんなに高価な無機質資材を揃えても、微塵抜きの工程を怠れば排水構造は完全に崩壊するという事実を認識しておく必要があります。
また、鉢選びとの組み合わせも重要です。通気性の高いプレステラやスリット鉢を使用する場合は排水性が強化されますが、デザイン重視の厚手陶器鉢や化粧鉢を使用する場合は水分の蒸散速度が30〜50%低下します。陶器鉢を採用する際は、軽石の比率を全体の50%程度まで引き上げるなどの微調整が必須となります。