SNSや動画サイトでは「身の回りの日用品で六角ネジが回せる」といったライフハック動画が散見されますが、その中には工学的に極めて危険な情報が含まれています。安易に模倣すると、家具や機器が修復不能になるだけでなく、怪我のリスクを招きます。
特に危険なのが、文房具のハサミの刃やカッターナイフの先端を差し込んで回す行為です。ハサミやカッターの刃は「切断」を前提とした硬度の高い鋼材で作られており、横方向からの強いねじり応力(曲げモーメント)に対して極めて脆い性質を持っています。力を入れた瞬間に刃先が突然破断し、飛び散った金属片が目に入ったり、指や手首に深手を負ったりする事故が後を絶ちません。
また、「ネジ穴に瞬間接着剤を流し込んで棒を固定して回す」という手法も致命的な失敗を招きます。市販の瞬間接着剤(シアノアクリレート系)は引っ張り方向には強いものの、回転方向のせん断応力には極めて弱く、回そうとした瞬間にあっけなく剥がれます。そればかりか、接着剤がボルトの隙間からネジ山全体に浸透して完全に固着し、二度と外せなくなるという最悪の二次災害を引き起こします。