入団当初の王は、才能に恵まれながらも三振の山を築き、「王ブラブラ素振りの王」と揶揄されるほどの苦境に立たされていた。その運命を大きく変えたのが、打撃コーチ荒川博との出会いだ。畳が擦り切れるほどの壮絶な猛練習、そして日本刀を使った素振り。血の滲むような修練の末に編み出されたのが、あの伝説の「一本足打法」だった。
しかし、世界記録868本塁打という金字塔の裏には、知られざる苦悩と身体への壮絶な負荷が存在した。片足で立つ打撃姿勢は、軸足となる左膝と股関節に絶え間ない激痛をもたらしていたという。未公開の証言によれば、試合前に激痛で歩行すら困難な状態でありながら、グラウンドに立つと一切その仕草を見せず、完璧なフォームでホームランを放ち続けた。孤高のホームラン王が背負っていたのは、記録達成への執念だけでなく、観客の歓声に応え続けるという重厚な責任感だったのだ。