作中で最も残酷な境遇に置かれていた少女の原点は、指定敵<ヴィラン>団体・死穢八斎會の組長の孫娘として生を受けたことに始まります。ヒロアカにおけるえりちゃんの過去と生い立ちは、個性社会の理不尽さを象徴する悲痛な出来事の連続でした。幼少期に突然発現した「巻き戻し」の個性を制御できず、無意識に触れた実の父親を「存在そのものを巻き戻して消滅」させてしまうという凄惨な事故を引き起こします。この出来事により実母から「呪われた子」として激しく拒絶・育児放棄され、祖父である組長のもとへ預けられることになりました。
しかし、祖父が病に倒れて昏睡状態に陥ったことで、若頭であった治崎廻(オーバーホール)が実権を掌握します。えりちゃんとオーバーホール(治崎)の関係は、保護者と子供などではなく、冷酷な実験体と支配者そのものでした。治崎は彼女の特異な生体組織に着目し、彼女の身体を自らの「オーバーホール」で何度も破壊(分解)と再生(修復)を繰り返しながら、血液や細胞を抽出する生体実験を日常的に強行しました。
こうして製造されたのが、壊理の個性因子を組み込んだ「個性消失弾」の真相です。治崎の狙いは、個性を永久に破壊する弾丸を敵<ヴィラン>に売り、その解毒薬(元に戻す血清)をヒーロー側に高値で売りつけるというマッチポンプによる裏社会の完全掌握でした。壊理の腕や足に巻かれていた夥しい包帯は、日常的に肉体を解体・採取されていた地獄のような日々の証言記録に他なりません。