本来は戦慄すべき虐殺の場面でありながら、なぜこのセリフは現代のインターネット空間において、これほどまでに親しまれるネットミームとなったのでしょうか。
日本のネットカルチャーにおけるムスカの受容史を振り返ると、2000年代初頭のテキストサイト時代や2ちゃんねる(現5ちゃんねる)、ニコニコ動画のMAD文化を通じて、「冷酷な悪役」から「愛すべきネタキャラ」へと再定義されてきた経緯があります。
超高層ビルの展望台から地上の交差点を見下ろしたときや、満員電車の混雑を駅の歩道橋から眺めたときなど、日常の過密空間に対するシニカルなユーモアとして「見ろ、人がゴミのようだ」と引用する文化が定着しました。悪役の圧倒的なセリフをあえて日常の些細なフラストレーションの発散に用いることで、人々は過密社会のストレスを笑いに転換しているのです。