彼の名前が一躍世界中に轟いたのは、大坂なおみとのタッグで挑んだ衝撃的なシーズンのことだ。ノーシードに近い立ち位置から一気にグランドスラム王座へと登り詰めたあの快進撃は、コート上のドラマを超えた衝撃を世界に与えた。中でも圧巻だったのが全米オープンテニスでの戴冠劇だ。強靭なハードヒッターであった大坂のポテンシャルを極限まで引き出し、感情の揺らぎを包み込むような対話で支え続けた。
彼が評価されたのは、単なる打ち合いの相手としての打撃技術だけではない。かつてセリーナ・ウィリアムズの打撃パートナーとして長年コートを共にし、世界の頂点の景色を知り尽くしていた経験こそが最大の武器だった。女王が土壇場で放つ威圧感、窮地に追い込まれた際の呼吸法、勝利への意志を維持するメンタルのタフさ。それらを間近で吸い上げてきた経験が、若き才能を開花させる特効薬となったのだ。