数年前まで市場を席巻していた「タイムパフォーマンス(タイパ)」という言葉は、今や急速にその輝きを失いつつある。倍速で動画を視聴し、要約サイトで本を読んだ気になっていた人々が、今求めているのは「あえて時間をかける贅沢」だ。
週末の書店やレコードショップ、手芸用品店には、若い世代の姿が目立つ。彼らはデジタルデバイスを自宅に置くか、電源を切った状態で、数時間をかけて一冊の本や一枚のレコードを選び抜く。効率性を極限まで追求した結果、人間が置き去りにされていたことに、多くの人が気づき始めた結果と言えるだろう。