ストリーミング市場の成長に伴い、定額制のビデオ・オン・デマンドサービスは人々の生活の一部として完全に定着した。スマホひとつで世界中の名作や話題作にアクセスできる手軽さは、鑑賞スタイルを大きく変えた。しかし、その手軽さと引き換えに失われたのが、作品だけに集中する「濃密な時間」だ。自宅ではSNSの通知や生活音などの雑音が絶えず割り込んでくる。
こうした状況下で、個室空間を提供するサービスが再評価されている。音響の振動を肌で感じ、照明を完全に落とした個室で作品と向き合う体験は、家庭のリビングでは決して再現できない。単に映像を短時間で消費するのではなく、映画の持つ世界観にどっぷりと浸かるための専用シェルターとして、多様な動画コンテンツを存分に楽しむための環境が求められているのだ。