事故も工事もないのに、突然車列が停滞する。誰もが一度は経験するこの現象の正体は、道路構造にある。
NEXCO各社の調査によれば、高速道路における非事故性の自然渋滞のうち、約7割から8割が「サグ部」と呼ばれる下り坂から上り坂へ差し掛かる緩やかな凹部で発生している。ドライバーは意図せず速度を落とし、無意識のうちに減速してしまうのだ。勾配の変化に気づかない1台がわずかにスピードを落とすと、後続車はブレーキを踏む。そのブレーキランプの連鎖が、後ろに行けば行くほど増幅され、最終的に完全な停止状態を作り出してしまう。
トンネルの入り口も同様の心理的ブレーキを引き起こす。視界が急に狭まることで無意識に足をアクセルから離してしまうドライバーが多いためだ。つまり、混雑の主因は車両の容量オーバーだけでなく、人間の視覚的な心理反応と微細な速度低下の累積にある。