だが、彼の真骨頂は間違いなく大人向けの作品群に潜む「闇」の描写にある。『ビッグコミック』などで展開された読み切り作品や、代表作『笑ゥせぇるすまん』は、日本のブラックユーモアの金字塔として君臨する。
「ココロのスキマをお埋めします」。謎のセールスマン・喪黒福造が差し出す甘い誘惑。約束を破った人間に対し、容赦なく放たれる「ドーン!」という決め台詞。欲望を抑えきれずに破滅へと転落していく登場人物たちの姿は、現代社会の歪みそのものを映し出す鏡だ。ポップな画風と残酷なストーリー展開の落差。この視覚的・心理的ギャップこそが、半世紀近く経った今もなお色褪せない恐怖と爽快感を生み出している。