「チーズを食べると太る」「悪玉コレステロールが跳ね上がる」――こうした警戒感が世界的な潮流となった背景には、過熱するメディア報道と特定の健康ドキュメンタリーの影響がある。特に、Netflixなどで話題を呼んだドキュメンタリー映画『What the Health』は、乳製品や肉類の摂取リスクを強く訴え、消費者に強いショックを与えた。
科学的根拠の観点から言えば、批判の矛先が向く最大の理由は高濃度の飽和脂肪酸と塩分だ。チーズは製造過程で水分が抜かれるため、単位重量あたりの栄養成分が極めて濃縮される。プロセスチーズやチェダー、パルミジャーノなどのハード系チーズには100gあたり1〜2g程度の塩分が含まれることがあり、ついつい食べ過ぎてしまえば塩分の過剰摂取に直結する。また、動物性脂質に豊富な飽和脂肪酸は、従来の栄養学において心血管疾患リスクを高める主因と目されてきたため、健康を害する食品として槍玉に挙げられやすかったのだ。