着座ポーズの作画において、インターネット上のまとめ記事やSNSの断片的なテクニック情報には、いくつかの危険な誤解が含まれています。
よくある誤解の一つが、「椅子をきっちり直角(90度)で描けば安定する」という思い込みです。現実のオフィスチェアやダイニングチェア、ソファのほとんどは、人間工学(エルゴノミクス)に基づいて設計されており、座面は水平ではなく後ろへ約3〜5度傾斜し、背もたれは100〜115度の後傾角度を持っています。完全な直角で椅子を描いてしまうと、人間が座った際に体が滑り落ちそうな不自然な硬さが画面全体に漂うことになります。
また、「衣服のシワは関節部分だけに集まる」という認識も不十分です。立位では重力に従って裾に向かって落ちるシワが、着座時には「お尻と太ももで布地が固定される」ため、固定された座面から腰・膝へと引っ張られる「放射状のテンション(張力)ライン」が形成されます。この引っ張りジワを描き分けることこそが、キャラクターが実際にその場に腰掛けているリアルな重みを生み出します。