持ち手彫刻で最も多い失敗は、「いきなり目や毛並みなどの細部から彫り始めて全体のバランスが崩れる」というケースです。彫刻の基本は常に「全体から部分へ」であり、デッサンにおけるアタリ取りと同じ工程を踏む必要があります。
具体的な篆刻立体彫刻のコツは、石の上面と4つの側面にサインペンなどで大まかなシルエットを下描きし、まずは直方体の角を大きく落とす「荒彫り」から着手することです。段階を踏むことで、左右非対称の歪みや削りすぎを防ぐことができます。
また、古典的な印鈕に欠かせないのが篆刻紐穴の開け方です。紐を通す穴(通称:鼻穴・鈕孔)は、いきなり大きなドリルで貫通させようとすると石が割れる恐れがあります。両側から細い精密ハンドドリルや三角刀を用いて中心に向かって少しずつ掘り進め、中央で正確に貫通させるのがプロの基本技術です。
作業の全体効率と安全性を左右するのが印刀の使い方と研ぎ方です。切れ味の落ちた印刀で無理に力を加えると、刃先が滑って石を破損させるだけでなく、指先を負傷する大きな事故につながります。砥石(中砥1000番〜仕上砥3000番以上)やダイヤモンドシャープナーを使い、刃先が均一な直線を描くよう定期的に研ぎ上げる習慣が不可欠です。