話題となっているフレーズは、『アンパンマンたいそう』の2番に登場します。歌詞の流れを追うと、そのメッセージ性の強さがより鮮明に浮かび上がります。
「たいせつな もの わすれて めそめそしたく なったら / たのしいこと たのしいこと おもいだせ / そうさ わすれないで なみだを ふいて / あしたは くるよ きみのために」
ここにあるのは、「頑張れ」と背中を押すプレッシャーではなく、「泣いてもいい、楽しいことを思い出してごらん」という深い慈愛です。そして続く「明日は来るよ君のために」という言葉は、世界がどれほど冷たく感じられても、次の日は必ずあなたという存在を迎え入れるために訪れるのだという、絶対的な存在肯定を意味しています。
戦争の過酷な体験を経て「飢えに苦しむ人を助けることこそが真の正義」という信念に辿り着いたやなせたかし氏。彼が遺した言葉には、生きることへの切実な祈りと、絶望の淵にいる名もなき個への温かい眼差しが宿っています。子供向けの平易な言葉で紡がれているからこそ、余計な装飾のない真実として心に深く突き刺さるのです。