トレンデレンブルグ徴候の原因と判定基準|デュシェンヌとの違いと対策

トレンデレンブルグ徴候の原因と判定基準|デュシェンヌとの違いと対策

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トレンデレンブルグ徴候(Trendelenburg sign)とは、片脚起立を行った際に、支持脚とは反対側(挙上側・遊脚側)の骨盤が下方に傾斜する現象を指します。ドイツの外科学者フリードリヒ・トレンデレンブルグによって1895年に先天性股関節脱臼の徴候として報告されて以来、股関節外転筋群の機能を評価する最も代表的な徒手検査として用いられてきました。

人間が片足で立つとき、重力によって骨盤は浮いている側(健側)へ落ちようとします。健常な身体では、体重を支えている側(患側・支持脚側)の中殿筋および小殿筋が強力に収縮し、骨盤を水平に引き留めます。これは生体力学における「第1種てこの原理」で成り立っており、股関節を支点として、内側の体重負荷モーメントと外側の中殿筋収縮モーメントが釣り合うことで姿勢が保持されます。

しかし、支持脚側の中殿筋が正常に機能しない場合、骨盤を水平に保持できず、てこの均衡が崩れて健側の骨盤が沈み込みます。この現象を引き起こす主な病態と原因は、大きく以下の3系統に分類されます。

  • 筋原性・神経性要因(中殿筋麻痺・上殿神経麻痺):腰椎椎間板ヘルニア(L4/L5根障害)、筋肉注射の偶発合併症、骨盤骨折や人工股関節全置換術(THA)の手術侵襲に伴う上殿神経麻痺によって、中殿筋への神経伝達が遮断・低下するケース。
  • 関節構造・骨性要因(変形性股関節症・大腿骨頭すべり症など):変形性股関節症(股関節OA)の進行による関節裂隙の狭小化、骨頭の扁平化、大腿骨頸部骨折の変形治癒や偽関節などにより、大転子が中枢へ移動して中殿筋の筋長が短縮し、十分な収縮張力を発揮できなくなる(有効筋長の短縮)。
  • 疼痛回避性要因:股関節内の強い炎症や軟骨摩耗に伴う荷重時痛により、反射的に中殿筋の筋出力を抑制してしまう防御反応。
高橋 健太
著者

高橋 健太

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。