腎臓再生の最前線において、世界中から熱い視線を浴びているのが日本発のiPS細胞技術を用いたアプローチです。なかでも東京慈恵会医科大学のチームが進める胎児腎前駆細胞を用いた再生医療プロジェクトは、世界初の治験ステップに進み、極めて具体的な成果を積み上げています。
研究グループは、ネフロンの元となる細胞から「ミニ腎臓(腎臓オルガノイド)」を高精度に分化誘導し、さらには尿管と接続して実際に尿を生成・排出させるシステムの構築を進めています。実験室レベルの小さな組織片から、移植可能なサイズと血管網を備えた実用的な臓器へとスケールアップする課題も、バイオ3Dプリンティング技術の融合によってブレイクスルーが生まれつつあります。
専門家の間では、重症患者の一部に向けた限定的な細胞移植治療が2026年代後半から2030年前後に条件付き承認を目指す動きがある一方、透析患者全員をカバーできる完全な臓器再生の実用化時期は、安全性の長期検証を含めて2035年前後が一つの目安と見られています。