結論から述べると、狩人が歌った「8時ちょうどに新宿駅を出発する下り・松本行きのあずさ2号」は紛れもなく実在していました。楽曲がリリースされた1977年(昭和52年)3月25日当時の日本国有鉄道(国鉄)中央本線のダイヤにおいて、新宿駅を午前8時00分ちょうどに発車する特急列車がまさに「あずさ2号」だったのです。
鉄道の運行番号において、起点(東京方面)から地方へ向かう列車を「下り」、地方から起点へ向かう列車を「上り」と呼びます。現代の常識では「下りは奇数(1号・3号…)」「上りは偶数(2号・4号…)」という付番ルールが徹底されているため、「下りなのに2号なのは作詞上の創作ではないか」と疑われるケースが後を絶ちません。
しかし、当時の国鉄では線区ごとに号数の割り振り基準が異なっていました。中央本線では東京・新宿を発着する列車について、「上り・下りを区別せず発車時刻順に1号、2号と通し番号を付与する方式」を採用していたのです。そのため、朝一番(午前7時発)の下り特急が「あずさ1号」、その次となる午前8時発の下り特急が「あずさ2号」と名付けられていました。
この歴史的事実こそが、作詞者のインスピレーションと現実の時刻表が完璧に合致した奇跡的な瞬間を生み出す契機となりました。