「衆議院と参議院はどちらが強いのか?」という問いに対して、法的な結論を言えば衆議院の方が強い権限を持っています。憲法上、両院の意見が対立した際に衆議院の決定を優先させる「衆議院の優越」が明確に定められているためです。
では、なぜ同じ国民の代表でありながら、衆議院にこれほど強力な優越が認められているのでしょうか。その理由は主に3つあります。
1. 最新の民意をダイレクトに反映しているから
衆議院には首相による「解散」があり、常に最新の民意を問われる環境にあります。国民の審判を頻繁に受けているからこそ、「より国民のリアルな声に近い議院」として強い決定権が与えられているのです。
2. 国政の停滞(デッドロック)を回避するため
国家の根幹に関わる法律や予算、首相の選出などで両院の意見が真っ向から対立し、双方が譲らなければ国の機能が完全に停止してしまいます。国の意思決定を最終的に前に進めるための「決定打」として衆議院の優越が組み込まれています。
3. 内閣に対する生殺与奪の権を握っているから
衆議院のみに認められている極めて重い権限が内閣不信任決議権です。衆議院で内閣不信任決議案が可決された場合、内閣は10日以内に衆議院を解散するか、総辞職しなければなりません。内閣の存続を左右する責任を負っている点も、優越の根拠となっています。
さらに、お金の使い道を巡る「予算」に関しても、先に審議を行う予算先議権が衆議院だけに与えられています。予算や条約の承認、内閣総理大臣の指名において両院で意見が一致しない場合、一定期間が経過すれば衆議院の議決が自動的に「国会の議決」となります。