ピカピカの新品状態が最も美しく、時間が経つほど劣化していく従来の工業製品的キッチンへの疑問から、「経年変化を愛でる」という日本の伝統的な価値観が見直されている。
無垢の木材はオイル塗装で丁寧に手入れを重ねることで、年を追うごとに深い飴色へと変化する。真鍮製の水栓や取っ手は皮脂や空気に触れることで独特の風合いを纏い、銅や錫の調理器具は使う人の癖に合わせて表情を変えていく。「傷や汚れを損害ではなく、暮らしの記憶として楽しむ」。使い捨ての消費社会に対するアンチテーゼとしても、和のキッチンスタイルは極めて現代的でサステナブルな選択肢といえる。