遮光器土偶と聞いて、昭和から平成にかけてテレビ特番などで頻繁に取り上げられた「古代宇宙飛行士説(宇宙人説)」を思い出す方も少なくないはずです。「あの丸い頭部はヘルメットで、目はバイザー、手足の膨らみは宇宙服の関節構造ではないか」という仮説は、SF作家やオカルトファンの心を掴みました。
しかし、考古学の観点から客観的証拠を検証すると、宇宙人説は完全に否定されます。その決定的な理由は、遮光器土偶の造形が突然現れたのではなく、数千年におよぶ「縄文土偶の進化の系譜」の中に明確に位置づけられるからです。
縄文時代早期の平板で素朴な土偶から始まり、中期の立体的な立像、後期のハート形やみみずく形土偶を経て、晩期の亀ヶ岡文化において極度に洗練された形態へと段階的に発展しています。服飾に見える文様も、当時の縄文土器に施された雲形文や工字文などの伝統的な文様文脈と完全に一致しており、地球外生命体の介入を想定する必要は一切ありません。