甲子園の天候対策を語る上で欠かせないのが、職人集団「阪神園芸」の存在です。彼らの整備技術はメディアでも頻繁に取り上げられますが、球場関係者の証言によると、その卓越した手腕は「ただ泥を均す」ことにとどまりません。内野の黒土(鹿児島県産や岡山県産などのブレンド土)と白砂の絶妙な配合比率、季節や湿度に合わせた転圧(ローラーがけ)の調整によって、甲子園グラウンドの水はけ状況を常に最高の状態に維持しています。
ゲリラ豪雨などで内野一面が水浸しになった場合でも、降雨が止んでから阪神園芸が投入されれば、わずか20〜30分で試合再開へ向けたグラウンド整備が完了します。吸水スポンジでの手作業と並行し、独自の配合土を絶妙な厚さで散布してスパイクが滑らない硬度を即座に作り出す様は、まさに技術の極致と言えます。
ここで観戦者がリアルタイムで活用すべきツールが、甲子園周辺の雨雲レーダー(現在地データ)です。単に「雨が降っているか」を見るのではなく、以下の2点を確認する視点が不可欠です。
- 線状の強雨エコーの有無:西宮市上空に停滞する線状のエコーがある場合、阪神園芸をもってしても排水が追いつかず、コールドゲームやノーゲームの判断が下されます。
- 雲の移動速度と六甲山による風の屈折:瀬戸内海側から北東へ抜ける雨雲の移動速度が速い場合、一時的な中断を挟んで試合が最後まで行われる確率が高くなります。