物語の舞台は、高度経済成長に沸く2000年代初頭の台北。大手IT企業に勤める実直な父親・NJ(ウー・ニェンチェン)、妻のミンミン(エレーヌ・ジン)、思春期を迎えた高校生の娘・ティンティン(ケリー・リー)、そして8歳の小学生・ヤンヤン(ジョナサン・チャン)の4人家族は、一見すると何不自由ない中流階級の生活を送っています。しかし、ミンミンの弟の派手な結婚式の日、同居する祖母が脳卒中で倒れ、意識不明の昏睡状態に陥ったことから、平穏だった家族の歯車が少しずつ狂い始めます。
医者から「毎日誰かが話しかけて刺激を与えてほしい」と告げられた家族は、病床の祖母へ語りかける日々を強いられます。そこで家族それぞれが直面したのは、「自分が生きてきた日々の空虚さ」でした。母ミンミンは語るべき中身のない人生に絶望して新興宗教の合宿へと姿を消し、父NJは会社の経営破綻危機と幼馴染の初恋相手・シェリーとの東京での密会に揺れ動きます。娘のティンティンは隣家の複雑な恋愛関係に巻き込まれ、祖母の病気に対する激しい罪悪感に苛まれることになります。
そうした大人たちの混迷をよそに、小学生のヤンヤンは学校で女子生徒たちにいじめられながらも、父から買い与えられたカメラを手に、独自の視点で周囲の世界を観察し始めます。家族全員がそれぞれの苦悩を胸に抱え、季節が夏へと移ろう中で、物語は静かに決着の時を迎えます。