ネット上のQ&AサイトやSNSで最も多く見られる誤解の一つが、「全国に指名手配されている被疑者が警察署に出向いた場合、自首になるのか」という疑問です。
結論から申し上げますと、全国指名手配されている状態での出頭は、法律上の「自首」には一切該当しません。指名手配がなされている時点で、捜査機関側は犯罪事実を完全に把握し、かつ犯人の氏名・人相まで特定しているため、「捜査機関に発覚する前」という刑法42条の絶対条件を満たさないからです。
同様の誤解は交通違反の現場でも頻繁に発生します。例えば、オービス(自動速度違反取締装置)で速度超過を撮影され、後日自宅に「出頭通知書」が届いた段階で警察署へ行く行為は、単なる呼び出しに応じた任意出頭であり、自首ではありません。
ただし、交通事故であっても「相手に怪我を負わせてパニックで逃走してしまったが、防犯カメラや目撃情報から警察に特定される前に警察署へ駆け込んだ」というひき逃げ事案であれば、自首が成立します。防犯カメラ捜査の精度が極限まで高まっている現在、犯人特定に至るまでのタイムリミットは極めて短くなっており、数時間の初動の遅れが自首不成立の決定打となるケースが多発しています。