「18週を過ぎたのに胎動が全くわからない」と検索を繰り返す妊婦さんの多くは、ネット上の体験談によって不必要なプレッシャーを受けています。しかし、妊婦健診のエコー検査で胎児の心拍と発育が順調であれば、この時期に胎動を感じないこと自体は異常を示すサインではありません。胎動の伝わりやすさを左右する4つの物理的・医学的要因を把握しておく必要があります。
① 胎盤の位置関係(前壁胎盤のクッション効果)
受精卵が着床した位置により、胎盤がお腹側(前壁)につく「前壁胎盤」の場合、胎児と母体の皮膚の間に分厚い胎盤が挟まる構造になります。これが衝撃吸収クッションの役割を果たしてしまうため、背中側に胎盤がある「後壁胎盤」の人に比べて、胎動を自覚する時期が1〜2週間ほど遅くなる傾向が報告されています。
② 母体の皮下脂肪と腹壁の筋緊張
母体の皮下脂肪の厚みや腹直筋の緊張度合いも大きく影響します。アスリート気質で腹筋が引き締まっている人や、皮下脂肪が厚めの人は、胎児の微細なキックが表面まで伝わりにくくなります。
③ 胎児の向きと手足のポジション
18週の胎児は、羊水の中で自由に回転しています。手足が母体の背中側(内側)を向いているときは、内臓に向かってキックすることになるため、皮膚表面の神経では動きを検知できません。手足がお腹の表面側を向いたタイミングでしか衝撃が伝わらないため、「昨日は感じたのに今日は何もない」といったムラが生じるのは極めて自然な現象です。
④ 胎児の睡眠リズムと活動サイクル
妊娠18週頃の胎児は、すでに20〜40分ごとの睡眠・覚醒リズムを持ち始めています。母体が活動している昼間は揺りかごのように揺られて眠り、母体が静かに横になった夜間に起き出すケースも多く見られます。日中に仕事や家事で忙しくしていると、わずかな動きに気づかないまま見過ごしていることも少なくありません。