朝ラーメンのルーツを辿ると、日本の産業構造と深く結びついた二大聖地に辿り着きます。その歴史的背景を理解することは、現代の朝ラーブームの本質を読み解く上で欠かせません。
福島県喜多方市では、昭和初期に三交代制で働く工場労働者や農作業を終えた人々が、朝食代わりにラーメンをすすったことから文化が根付きました。朝7時から暖簾を掲げる老舗では、澄んだ醤油スープにたっぷりの手揉み縮れ麺が泳ぎ、朝の活力源として愛され続けています。一方、静岡県藤枝市を中心とする志太地域では、早朝から茶摘みや取引を行う茶業関係者のために、朝早くから営業を開始したのが始まりです。ここでは「温かい中華そばを食べた後に、冷たい中華そばでお口直しをする」という2杯食い文化が独自の進化を遂げました。
こうした地域発祥の伝統に対し、全国の幹線道路沿いで圧倒的な存在感を放っているのが「ラーメンショップ(通称:ラーショ)」です。朝6時台や7時台から開店し、ネギラーメンや朝限定の割引サービスを展開する店舗が多数存在します。大型トラックが停められる広大な駐車場を備え、ドライバーや建設関係者の胃袋を半世紀以上にわたって支えてきました。近年では、ラーショ特有のジャンキーな中毒性に魅了された一般のファンが、早朝から行列を作るケースも珍しくありません。