十分な睡眠時間を確保しているにもかかわらず疲労感が残る場合、睡眠の「量」ではなく「質」と「生体リズム」の破綻が起きています。人間の体は、夜間に副交感神経が優位になることで心拍数や血圧を下げ、深部体温を低下させて細胞の修復や成長ホルモンの分泌を行います。しかし、就寝直前までスマートフォンなどの高輝度画面を見続けたり、慢性的なストレスを抱えていたりすると、交感神経が過剰に緊張したまま睡眠に入ることになります。
その結果、脳の覚醒状態が続いて深いノンレム睡眠(ステージ3・4)が削られ、筋肉や内臓の修復が十分に行われません。朝アラームが鳴っても体が動かない、いわゆる朝起きられない理由の根底には、深部体温がスムーズに上昇せず、覚醒を促すホルモンであるコルチゾールの分泌リズムが乱れている生理現象が存在します。
さらに、睡眠時無呼吸症候群(SAS)や上気道抵抗症候群による「無自覚な夜間低酸素状態」も大きな要因です。本人は眠っているつもりでも、脳は一晩中酸欠と戦っており、フルマラソンを走った直後のような疲労状態で朝を迎えてしまう構造的な罠が存在します。