現代のポップカルチャーにおける舌出しポーズには、長い歴史的ルーツと象徴的なアイコンが存在します。舌出しポーズの元ネタを辿ると、複数のカルチャーが交錯しながら現在のスタイルへと進化してきた経緯が見えてきます。
世界で最も有名な舌出し写真といえば、1951年にノーベル物理学賞受賞者アルベルト・アインシュタインが72歳の誕生日に見せた一枚です。群がる報道陣の「笑ってください」という過剰な要求に対し、おどけて舌を突き出したこの写真は、堅物な科学者像を覆す人間味の象徴として世界中に拡散されました。また、ロック界では1970年代以降、ザ・ローリング・ストーンズの象徴的な「Lips and Tongue(舌と唇)」ロゴが反逆のアイコンとして定着しています。
日本国内における「舌出し」の原風景としては、不二家のマスコットキャラクター「ペコちゃん」が挙げられます。ほっぺの横から愛らしく舌を出したデザインは、昭和から平成にかけて「失敗しても愛嬌で許される無邪気さ」の原型を形作りました。2000年代以降は、海外セレブのマイリー・サイラスが従来のディズニープリンセス像を脱却するために過激な舌出しパフォーマンスを展開したほか、平成のギャル文化や声優カルチャー発の「てへぺろ」が流行語となるなど、時代ごとに意味合いを変えながら消費されてきました。
現在では、BeRealやTikTokをはじめとする短尺動画・SNS自撮りカルチャー、さらには世界的なトレンドであるY2Kファッションのリバイバルと連動し、ポーズの定番として幅広い世代に再インストールされています。