日本列島は地球上で最も火山活動が活発な地域の一つであり、国土の各地に息をのむような美しいカルデラ湖が存在します。環境省の自然公園データや国土地理院の地形記録から、代表的なカルデラ湖の地形的特徴を紐解いてみましょう。
北海道東部に位置する屈斜路湖(くっしゃろこ)は、面積約79.3平方キロメートルを誇る日本一のカルデラ湖です。周囲を取り囲む広大な外輪山と、中央に鎮座する巨大な溶岩円頂丘「中島」が特徴であり、湖岸を掘れば温泉が湧き出す砂湯など、現在も活発な地熱活動を体感できます。
北海道中西部に並び立つ支笏湖と洞爺湖の特徴も見逃せません。支笏湖は最大水深363mを誇る日本第2位の深所湖であり、その水量の多さと保温効果から「日本最北の不凍湖」として知られます。水質の良さは全国トップクラスで、水中に差し込む陽光が放つ「支笏湖ブルー」は国内外の観光客を魅了しています。一方の洞爺湖は、ほぼ円形に近い整ったカルデラであり、中央に浮かぶ中島群と南岸にそびえる有珠山・昭和新山が、カルデラ形成以降も繰り返されたダイナミックな火山活動の歴史を物語っています。
東北地方のシンボルである十和田湖は二重式カルデラという複雑な成因を持ちます。約5万5千年前に始まった初期のカルデラ形成に続き、その内部で約1万5千年前に再び噴火と陥没が発生。さらに内部で火口丘の隆起と崩壊が重なった結果、現在の御倉半島と中山半島が中湖(なかのうみ)を挟み込むような特異な二重カルデラ構造が完成しました。
一方、関東の名所である芦ノ湖と箱根火山の成因は、複数の地質イベントが組み合わさった複合型です。約40万年前から活動を続ける箱根火山の大カルデラ内部において、約3000年前に神山の一部が水蒸気爆発で大崩壊(山体崩壊)を起こし、流れ出した岩屑が早川の渓谷をせき止めたことで誕生しました。カルデラ床に誕生した堰止湖という極めてユニークな生い立ちを持っています。
なお、視点を世界に向けると、インドネシア・スマトラ島に位置する世界最大のカルデラ湖トバ湖が存在します。長さ約100km、幅約30km、面積は琵琶湖の約1.6倍に達する1130平方キロメートルという圧倒的スケールを誇り、地球規模の気候変動を引き起こした歴史を刻んでいます。