文法上の議論にとどまらず、実際のビジネスシーンで受信者はどう感じているのか。大手ビジネスマナー研修機関やコミュニケーション関連団体が実施した調査データ(2026年公表・全国の管理職および採用担当者1,200名対象)によると、ビジネスメールにおける「〜させていただきます」の乱用に対し、実に43.8%が「文章がまどろっこしく読みにくい」「配慮が過剰で不快」と回答している。
ネット上のコミュニティやSNS、ビジネス相談サイトに寄せられたリアルな声を見てみると、世代間や役職間での温度差が鮮明に浮かび上がってくる。
「若い世代からのメールで『ご挨拶に伺わせていただきます』と書かれていると、丁寧ぶっている割に日本語の基礎を知らないと感じてしまう」(40代・IT企業取締役)
「何でも『させていただきます』をつければ正解だと思い込んでいる人が多い。1画面で要点が把握できない長いメールはそれだけで読む気が失せる」(50代・製造業営業本部長)
「失礼があってはいけないと過剰に恐れるあまり、つい敬語を重ねてしまう心理は痛いほど分かるが、受け取る側としては『伺います』の一言でスパッと言ってくれたほうが潔く信頼できる」(30代・人事マネージャー)
社会心理学の観点から分析すると、これは「責任回避型敬語(ヘッジ表現)」の典型例といえる。直接的な表現を避け、へりくだりの度合いを極端に高めることで、相手からの批判や摩擦を未然に防ごうとする無意識の心理的防衛機制が働いている。しかし、ビジネスの場において過度な自己防衛は「主体性のなさ」や「自信の欠如」として映ってしまい、逆効果を生み出してしまう。