2026年の現在、気候変動や地政学的リスクが日常を覆う中で、展示される作品のトーンにも明確な変化が見られる。目立つのは、人間中心主義を超えた自然との共生、あるいは地域の土着信仰や民俗学を再解釈したディープな試みだ。
沢渡の深い森の奥、苔むした岩肌に投影されるデジタル映像と鳥の鳴き声のポリフォニー。かつて修験道の行場だった岩山に設置された、風の音だけで鳴る巨大なエオリアン・ハープ。テクノロジーと原始的な自然環境が不気味なほど美しく調和し、都市生活で麻痺した感覚を根底から揺さぶってくる。単なるノスタルジーに逃げ込むのではなく、私たちがどこから来てどこへ向かうのかという根源的な問いが、静かに突きつけられる。